イギリスで博士課程へ。円ではなく「ポンド£」で受け取る奨学金という選択

私がイギリスで博士課程をスタートしてから、まもなく2年が経とうとしています。日々いろいろと忙しく、充実した生活を送っていることもあり、時間が過ぎるのがとても早く感じます。

そんな中、最近はメールでの問い合わせや、知り合いの先生、友人の友人などから、「イギリスの大学院(主に博士課程)への進学を考えているので、実際に私が支援を受けているEconomic and Social Research Council(ESRC)について詳しく教えてほしい」という相談をいただく機会が増えてきました。そして、こうした相談で共通しているのが、「日本の奨学金以外に、イギリスで応募できる奨学金についての情報がほとんど分からない」という悩みです。

確かに、「イギリス大学院 奨学金」などのキーワードで検索してみると、最近はとても便利になり、実際にイギリスへ留学している大学院生の方が、Noteなどで出願のプロセスや、実際に支援を受けている財団について詳しく紹介しています。そのため、以前と比べるとさまざまな情報源から情報を得られるようになった印象があります。しかし、実際にNoteなどで紹介されている情報の多くは「日本の財団」に関するもので、イギリスの機関から受けられる支援について書かれた記事は、まだかなり少ないように感じます。

さらに言えば、私が調べた限りでは、ESRCからの支援について日本語で詳しく説明している情報はほとんどありませんでした。

そこで、円安の影響もあり、海外留学への経済的なハードルが高くなっている今だからこそ、少しでもこれからイギリスで博士課程、あるいは修士課程+博士課程への進学を考えている日本人の方の参考になればと思い、この記事を書くことにしました。私自身、留学前には同じように「イギリスで博士課程に進学する場合、どのような奨学金や経済的支援が受けられるのだろう?」と悩んでいました。だからこそ今回は、私自身が現在支援を受けているESRC Doctoral Training Programme(DTP)について、どのように応募したのか、私自身の経験をもとに紹介したいと思います。

これからイギリスの大学院への進学を考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。


1. ESRCとはそもそも何なのか?イギリスのPhD Fundingを'ちょっと'知るために

今回、私がイギリスのPhD進学にあたって利用したのが、ESRC(Economic and Social Research Council)によるStudentshipです。

ただ、「ESRC」といきなり言われても、日本からイギリスの大学院進学を考えている方にとっては、少し分かりにくいかもしれません。

そこでまず、ESRCがどのような組織なのかから簡単に説明したいと思います。

UKRIという大きな組織

イギリスの研究・イノベーション政策を理解するうえで、まず知っておきたいのが、UKRI(UK Research and Innovation)です。

UKRIは、イギリスにおける研究・イノベーションを支援する組織で、複数の組織・Councilから構成されています。

イメージとしては、UKRIという大きな「傘」の下に、それぞれの専門分野を担当するResearch Councilsなどが存在していると考えると分かりやすいと思います。

出典:UK Research and Innovation (UKRI), “Who we are”
https://www.ukri.org/who-we-are/


UKRIの公式サイトでは、現在の組織について、7つのResearch Councils、Research England、Innovate UKの計9つのCouncilから成ると説明されています。

このうち、7つのResearch Councilsは、それぞれ異なる学問分野を担当しています。

例えば、

  • ESRC:Economic and Social Research Council(経済・社会科学)
  • AHRC:Arts and Humanities Research Council(芸術・人文科学)
  • BBSRC:Biotechnology and Biological Sciences Research Council(バイオテクノロジー・生物科学)
  • EPSRC:Engineering and Physical Sciences Research Council(工学・物理科学)
  • MRC:Medical Research Council(医学研究)

などがあります。

つまり、「イギリスの研究費」と一口に言っても、研究分野によって担当するResearch Councilが異なるということです。

その中の一つがESRC

そして、私が今回利用したのが、このResearch Councilsの一つであるESRC(Economic and Social Research Council)です。

ESRCは、名前の通り、経済学や社会科学分野の研究を支援するResearch Councilです。

私の研究分野も社会科学に該当するため、PhDのFundingを探す際に、このESRCが重要になりました。

そして、ここからが今回の話につながります。

ESRCは、個々のPhD学生に対して直接「ESRC奨学金」を配っているというよりも、Doctoral Training Partnerships(DTPs)という仕組みを通して、博士課程の学生にStudentship fundingを提供しています。

つまり、非常に大まかに整理すると、

UKRI

ESRC

Doctoral Training Partnerships(DTPs)

各大学・博士課程学生

という構造になっています。

このDTP(Doctoral Training Partnership)という仕組みが、私が実際に応募したStudentshipを理解するうえで重要なポイントになります。

DTPとは?

ESRCによれば、Doctoral Training Partnerships(DTPs)は、社会科学全般にわたる大学院教育に加え、学際的な研究分野も含めた、質の高い一貫した博士課程レベルのトレーニングを提供するものとされています。

単に「学費を払ってくれる奨学金」というだけではなく、博士課程の学生に対して研究者として必要なTrainingや研究活動の機会も提供するという点が特徴です。

そして、重要なのは、DTPは一つではないということです。

イギリス各地に複数のESRC DTPがあり、それぞれ複数の大学が参加しています。

そのため、ESRC Studentshipへの応募を考える場合には、

自分の研究分野と進学希望大学は、どのDTPに該当するのか?

というところから調べる必要があります。

私の場合は、University of WarwickでPhDをすることを考えていたため、Midlands Graduate School(MGS)DTPを通してESRC Studentshipに応募しました。

ここから先は、私が実際に応募したESRC DTPの仕組みと、応募までに何をしたのかについて説明していきます。

2. ESRC DTPとは何なのか?

そもそもESRCとは、イギリスの経済・社会研究会議(Economic and Social Research Council: ESRC)とされ、ESRCは英国研究・イノベーション機構(UK Research and Innovation: UKRI)に属しており、ESRCはその中でも、社会科学系の分野ではイギリスで最大の学術振興機関であるとされているようです。

ESRCの中の取り組みの一つとして、Doctoral Training Partnerships (DTPs)というものを博士課程の学生、もしくは修士+博士両方のProgrammeに入学する学生に提供をしています。以下のような説明が書かれています:

Doctoral Training Partnerships (DTPs) offer high-quality and coherent postgraduate training covering the full range of the social sciences, as well as areas of interdisciplinary research. (太字は筆者強調)

上でも、私が強調したように、授業料を全額カバーし、生活費が毎月支給されるのはもちろんのこと、大学院生として必要なトレーニングの機会やそれにかかる費用の負担もかなり手厚いです。肝心の応募方法やプロセスに関して自分の経験を思い出しながら説明をしていきたいと思います。

まず、このESRCのDoctoral Training Partnerships(DTPs)は、2017年から2023年にかけては、73の研究機関から構成される14のDTPと、2つのCentres for Doctoral Programmes(CDTs)を通じて、新しい学生シップ資金が利用可能となっていましたが2024年からは、New Doctoral Training Partnerships 2024ということで新しくなりました(これは私が入学した年度からのスタートで、まだ本当に新しいものです)。具体的には、2024年10月から、英国全土の89の研究機関を含む15のDTPsを通じて、studentship fundingが利用可能になっています。

3. ESRC DTPに応募できる大学と種類は?

上記でも記載したように、2024年からは、プログラムが新しくなり、英国国内で89の研究機関と15のDTPsを通じて、申し込みができるようになりました。この89の研究機関、および15のDTPsについてはこちらのリンク(https://www.ukri.org/what-we-do/developing-people-and-skills/esrc/doctoral-training-partnerships/doctoral-training-partnership-dtp-contacts-2024-to-2028/#contents-list)から確認することができますが、下でも記載をしておきます。

CAM DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Michelle Ellefson

Research organisations:

  • University of Cambridge (lead)
  • Anglia Ruskin University

Contact email: cam-dtp@admin.cam.ac.uk

Grand Union DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Dr Rebecca Surender

Research organisations:

  • University of Oxford (lead)
  • The Open University
  • Brunel University London

Contact email: granduniondtp@socsci.ox.ac.uk

London Interdisciplinary Social Science DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Pietro Panzarasa

Research organisations:

  • King’s College London (lead)
  • Queen Mary, University of London
  • Imperial College London

Contact email: liss-dtp@kcl.ac.uk

LSE DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Bingchun Meng

Research organisation: The London School of Economics and Political Science

Contact email: phdacademy@lse.ac.uk

Midlands Graduate School DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Ozlem Atikcan

Research organisations:

  • University of Warwick (lead)
  • University of Nottingham
  • University of Birmingham
  • Loughborough University
  • Aston University
  • University of Leicester]
  • De Montfort University
  • Nottingham Trent University

Contact email: esrcdtp@warwick.ac.uk

North West Social Science DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Gabe Mythen

Research organisations:

  • University of Liverpool (lead)
  • The University of Manchester
  • Lancaster University
  • Keele University
  • University of Central Lancashire

Contact email: nwssdtp@liv.ac.uk

Northern Ireland and North East DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Philip Steinberg

Research organisations:

  • Durham University (lead)
  • Newcastle University
  • Queen’s University Belfast
  • Ulster University
  • Northumbria University
  • Teesside University
  • University of Sunderland

Contact email: contact.nine@durham.ac.uk

Scottish Graduate School of Social Science DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Graeme Nixon

Research organisations:

  • University of Edinburgh (lead)
  • University of St Andrews
  • University of Dundee
  • Glasgow Caledonian University
  • Edinburgh Napier University
  • Heriot-Watt University
  • University of Aberdeen
  • University of Stirling
  • University of Strathclyde
  • University of Glasgow
  • SRUC
  • Abertay University
  • University of the Highlands and Islands
  • University of the West of Scotland

Contact email: team@sgsss.ac.uk

South Coast DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Athina Vlachantoni

Research organisations:

  • University of Southampton (lead)
  • University of Portsmouth
  • University of Brighton
  • University of Chichester

Contact email: scdtp@soton.ac.uk

South and East Network for Social Sciences (SeNSS) DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Fragkiskos Filippaios

Research organisations:

  • University of Essex (lead)
  • City, University of London
  • Cranfield University
  • University of East Anglia
  • Goldsmiths, University of London
  • University of Lincoln
  • Middlesex University
  • University of Roehampton

Contact email: admin@senss-dtp.ac.uk

South East Doctoral Training Arc (SEDarc) DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Kathleen Rastle

Research organisations:

  • Royal Holloway, University of London (lead)
  • Kingston University
  • University of Kent
  • University of Reading
  • University of Surrey
  • University of Sussex

Contact email: sedarc@rhul.ac.uk

South West DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Rich Harris

Research organisations:

  • University of Bristol (lead)
  • University of Bath
  • Bath Spa University
  • Bournemouth University
  • University of Exeter
  • University of Plymouth
  • University of St Mark & St John (Marjon)
  • University of the West of England, Bristol

Contact email: swdtp-enquiries@bristol.ac.uk

UCL, Bloomsbury and East London DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Julie Dockrell

Research organisations:

  • University College London (lead)
  • SOAS, University of London
  • Birkbeck, University of London
  • London School of Hygiene and Tropical Medicine
  • University of East London
  • University of Greenwich

Contact email: ubel-dtp@ucl.ac.uk

Welsh Graduate School for the Social Sciences (WGSSS) – Ysgol Graddedigion Gwyddorau Cymdeithasol Cymru (YGGCC)

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor William Housley

Research organisations:

  • Cardiff University (lead)
  • Swansea University
  • Bangor University
  • Cardiff Metropolitan University
  • University of Gloucestershire
  • Aberystwyth University
  • University of South Wales

Contact email: enquiries@wgsss.ac.uk

White Rose Social Sciences DTP

DTP website(←クリックして詳細を確認できます)

Director: Professor Ryan Powell

Research organisations:

  • The University of Sheffield (lead)
  • University of Leeds
  • University of York
  • University of Bradford
  • University of Hull
  • Manchester Metropolitan University
  • Sheffield Hallam University

出願の手順に関して(MGS DTPを例にして)

イギリスで社会科学系のPhDを目指す方に向けて、私が出願したUniversity of Warwickと、その大学が所属するMidlands Graduate School(MGS)のESRC DTP Studentshipへの応募手順を簡単にまとめます。

ここで改めて強調しておきたいのは、Doctoral Training Partnership(DTP)によって、出願方法や手順が多少異なる場合があるということです。そのため、必ずご自身が応募するDTPのホームページで、最新のGuidance Notes(応募要項)を確認してください。

例えば、日本人にも非常に人気の高い留学先であるThe London School of Economics and Political Science(LSE)のESRC DTP Studentshipに応募する場合、LSEのPhD入学枠に出願するだけでよく、ESRC DTP Studentshipのための個別の申請プロセスはないとされています。

このように、DTPによって応募方法が異なる場合があります。繰り返しになりますが、必ずご自身が応募するDTPの公式ホームページで、最新の応募要件やGuidance Notesを確認してください!!

4. まず知っておきたいこと!

MGSのESRC DTPに応募する場合、

① 大学・Pathway・指導教員候補の先生を決める
② 大学のPhDに出願する
③ MGSの奨学金に応募する

という流れになります。

重要なのは、MGSの奨学金だけを先に申し込むことはできないという点です。


① 大学とPathwayを決める

まず、自分の研究テーマに合うTraining Pathwayと、そこでPhDをしたい大学を選びます。

すべてのPathwayがすべての大学で提供されているわけではないので、MGSのPathway一覧を確認する必要があります。

大学を選ぶ際には、

  • 自分の研究テーマに合っているか
  • 希望するSupervisorがいるか
  • その大学で希望するPathwayが提供されているか

を確認しておくとよいです。

例えば、私の場合は、University of WarwickのDepartment of Applied Linguisticsに所属されている先生のもとでPhDを始めたいと考えていました。そのため、同時に、MGS DTPにApplied Linguistics Pathwayがあるかどうかも確認していました。


② 選んだ大学のPhDに出願する

次に、選んだ大学へPhD admission applicationを提出します。そうです。提出すればいいのです。

この時点では、まだ大学からConditional Offer / Unconditional Offer をもらっている必要はありません。

ただし、MGSのFunding applicationを提出するまでに、上でも強調したように

PhDへの出願自体は完了している必要があります。

また、PhD出願時に提出するReference(推薦状)も重要です。

MGSは、大学のAdmissions systemからこのReferenceを取得します。


③ MGSのESRC Studentshipに応募する

MGSのESRC DTPに応募する際に提出するもの

MGSのESRC DTP Studentshipに応募する際には、いくつかの書類や情報を準備する必要があります。

大きく分けると、MGSのApplication Formに入力するもの、MGSに自分でアップロードするもの、そしてPhD出願時の情報をMGSが大学から取得するものがあります。

MGSのApplication Form

まず、MGSのオンラインApplication Formを完成させます。

フォームでは、以下のような情報を入力します。

  • Applicant Details(氏名、生年月日、Student ID / Application IDなど)
  • Residency(居住資格・Fee Statusに関する情報)
  • Stuart Hall Foundation Scholarshipへの応募希望(希望者のみ)
  • PhD中のPlacementについて
  • 希望するUniversity、Pathway、School / Department
  • Lead Supervisor、Second Supervisor
  • 仮のProject Title
  • Undergraduate・Master'sなどの学歴
  • Master'sで履修したResearch MethodsやDiscipline-Specific Training
  • 職歴・Professional Experience
  • Research Experienceやその他のAchievements
  • Publications、Academic Prizes、Volunteer / Extracurricular Activitiesなど
  • Personal Statement
  • Project Partners / Collaborators(該当する場合)
  • Overseas Fieldwork(該当する場合)
  • Language Training(該当する場合)
  • Ethical and Intellectual Property Issues
  • 他のESRC DTPへの応募状況
  • その他、Declarationsなど

特に注意したいのは、PhD出願時にすでに提出した情報であっても、MGSのApplication Formには改めて記載する必要があるという点です。

Research Proposal

次に、Research Proposal(Project Details)をアップロードします。

これはMGSの審査において非常に重要な書類です。

基本的には、

  • どのような研究をするのか
  • その研究のTheoretical Background
  • 先行研究とどのように関係するのか
  • どのように新しいKnowledgeを生み出すのか
  • どのようなMethodologyを使用するのか
  • 自分のこれまでの研究や経験とどうつながるのか

などを説明します。

本文は最大1,000 wordsです。

1+3.5(Master's+PhD)の応募者については、Master'sで研究テーマをさらに発展させることが前提となるため、現時点で考えている研究分野やテーマ、その研究が重要である理由などを示す形になります。

Supervisor Supporting Statement

3つ目は、指導教員候補の先生からもらうSupporting Statementです。

これは、自分が希望するLead SupervisorにMGS指定のFormを記入してもらいます。

ただし、Supervisorが直接MGSに提出するのではなく、応募者本人がオンラインApplication Formにアップロードします。

そのため、応募を考えている場合は、Supervisorには早めに相談しておくことをおすすめします。

Transcript

これまで取得した学位・資格について、Transcript(成績証明書)も提出します。

UndergraduateやMaster'sなど、これまでの学歴に関するTranscriptが対象です。

まだ在学中で正式なTranscriptが発行されていない場合は、Provisional Transcriptや、それまでに取得した成績が分かる資料を提出します。

また、Transcriptが英語でない場合は、Certified Translation(認証翻訳)も必要です。

PhD出願時のReference 2通

最後に、少し分かりにくいのがReferenceです。

MGSに対して、自分でReferenceをアップロードする必要はありません。

MGSは、PhDを出願した大学のAdmissions systemから、PhD出願時に提出した2通のReferenceを直接取得します。

そのため、

MGSのFunding Applicationの締切までに、PhD出願時の2通のReferenceが大学のAdmissions system上で利用可能になっていること

が重要です。

つまり、PhD出願のReferenceもMGSの審査に使われるため、推薦者にはMGSのFunding Applicationの締切についても事前に伝えておくと安心です。

まとめると?

MGSのESRC DTPに応募する際に必要なのは、以下のように整理できます。

MGSに自分で入力・提出するもの!

  1. MGS Application Form
  2. Research Proposal(最大1,000 words
  3. Supervisor Supporting Statement
  4. Transcript

MGSが大学から取得するもの

  1. PhD出願時のReference 2通

そのため、実際の準備としては、

大学・Pathwayを決める
→ Supervisorを探す・連絡をする
大学のPhDに出願する
→ Referenceを依頼する
→ MGS Application Formを作成する
→ Research Proposalなどを準備する
→ MGSのESRC Studentshipに応募する

という順番で進めていくと分かりやすいと思います。


特に重要なのがResearch Proposal

Research Proposalで求められること

MGSのESRC DTP応募では、Research Proposalが審査において非常に重要な書類になります。応募前に、できるだけ早い段階で希望する指導教員候補の先生と内容を相談しておくことをおすすめします。

審査では、単に「この研究に興味があります」という熱意だけではなく、博士課程で質の高い研究を行えることを示す必要があります。

特に、以下の点が重要です。

  • 何を明らかにしたいのか
    研究の目的と、中心となるResearch Questions(研究課題)は何なのか。
  • なぜその研究をするのか
    なぜこのテーマを研究する必要があるのか。また、どのようなアプローチやMethodology(方法論)を用いるのか。
  • 先行研究をどの程度理解しているか
    自分の研究が、これまでの研究や現在行われている議論の中でどこに位置づけられるのか。
  • どのような新しい知識を生み出すのか
    既存の研究に対して、何を新しく加えるのか、あるいはどのように既存の知識を発展させるのか。
  • これまでの自分の経験とのつながり
    これまで行ってきた研究や学習、経験が、今回の研究プロジェクトとどのようにつながっているのか。

Research Proposalは、最大1,000語で、明確かつ簡潔にまとめる必要があります。

特に、私が「経験」の部分を赤字にしたのには理由があります。もちろん、これはあくまで私自身の主観的な意見ではありますが、研究計画書では、「これまでの自分の経験と、これから取り組みたい研究とのつながり」を一つのアピールポイントとして示すことをおすすめします。

実際に、私と同じ大学でESRCから奨学金を受けているPhD学生を見ていると、これまでのさまざまな社会経験から問題意識を持つようになり、それを博士論文の研究を通して明らかにしていこうとしている学生が多いように感じます。実際に多種多様な社会経験をすでにしている学生も多いです。

私自身も、研究計画書を書いた際には、それまでの自分の教員経験をかなり前面に出して、「なぜ自分がこの研究をするのか」という点を意識して書きました。今振り返ってみると、それが採択につながった理由の一つだったのかもしれない、と感じています。

そのため、研究計画書を書く際には、単に「面白い研究テーマ」を提示するだけではなく、自分がこれまでどのような経験をしてきたのか、そこからどのような問題意識を持つようになったのか、そしてその経験を今後どのような研究につなげていくのか?を示すことができれば、より説得力のある研究計画書になるのではないかと思います。


5. Supervisor選びも重要

MGSでは、PhD期間中、少なくとも2人のSupervisorからなるチームから指導を受けることになります。

そのため、応募を考え始めた段階から、自分の研究テーマに近い研究をしている先生を探し、できるだけ早い段階で連絡を取っておくことをおすすめします。

もちろん、指導教員候補の先生や大学によって対応は大きく異なると思います。しかし、実際に私が周囲の学生から聞いた話でも、メールでのやり取りや研究計画書の作成、オンラインでのミーティングなどを重ねる中で、「この学生を受け入れて指導したい」と思ってもらうことが非常に重要なようです。大学への正式なapplicationを出したとしても、その前段階で指導教員候補の先生との合意が十分にできていなければ、出願がうまく進まないケースもあると聞きます。

また、大学への出願とESRCへの応募には、研究計画書の作成や指導教員候補の先生との調整など、さまざまなプロセスがあります。先生方も非常に忙しいため、できるだけ早めに連絡を取っておくことが大切です。

ただ、私自身はそれ以上に、大学院生活を始める前に、指導教員候補の先生とある程度良好な関係を築いておくことが重要だと思っています。PhDでは長期間にわたって指導を受けることになるので、研究テーマだけでなく、「この先生と一緒に研究したい」と思える関係を事前に築いておくことは、大きなメリットになるのではないでしょうか。

ちなみに、私は正式に大学院へ出願する約1年9か月前に、最初の連絡を取りました。


6. Master’sを持っている人は要注意

すでにSocial Science系のMaster'sを持っている場合でも、Research Methodsの履修内容によってPhDのFunding期間が変わる可能性があります。

MGSでは、

  • Research Design, Practice and Ethics
  • Quantitative Research Methods
  • Qualitative Research Methods

の3分野のTrainingを重視しています。

Master'sでこれらを十分に履修していれば、通常の+3.5となります。

不足している場合は、+3.75・+4

など、追加のResearch Methods trainingを含むAwardになる場合があります。

一方、学部卒から直接応募する場合などは、1+3.5(Master's+PhD)のルートになる場合があります。



7. まとめ

上記でも強調したように、最終的に出願する際には、ぜひそれぞれの大学のGuideline Notesを確認してください!

また、2027年入学を対象としたESRC DTPのapplicationsは、(おそらく?)10月1日からオープンする予定です。研究計画について相談するだけでなく、ESRCの奨学金への応募も検討している方は、その旨もあらかじめ指導教員候補の先生に相談しておくことをおすすめします。そうすることで、先生方も今後のスケジュールを立てやすくなると思います。

特に最近は、毎年のように円安が進み、日本の奨学金だけでは留学にかかる費用を十分にカバーできないケースも増えているのではないかと思います。

私自身も、留学を始める前に同じようなことで悩んでいました。だからこそ、この情報が、イギリスで博士課程への進学を検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。